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リレー企画3人目(流時) |
| 沢渡真琴は焦っていた。 始まりはごく小さな誤算だった。朝食時、相沢祐一がいつも座る席に、一足早く来訪した月宮あゆが座ってしまった。その結果彼へのいたずらが彼女へロックオンされてしまったという、真琴にとっては予想外の事態。しかし… 「『謎の飛行物体は、依然ゆっくりとした動きで上空を…』」 「………」 ニュースから真琴は目をそれへと向ける。空。ちぎれ雲。漂うたい焼き。 マーマレードを入れただけだった。あゆの、本来は祐一の飲むはずだった味噌汁へ。あとは彼がそれを口にし、計画は大成功となるはずだったのに。なぜ彼女があのいい焦げ目の色をした体にモーフィングしつつ、二重窓を突き破ってテイクオフしなければならないと言うのだろう。 あっけにとられた瞬間、家主たる水瀬秋子に神速の動きで瓶を奪い取られ(それでも笑みは絶やさずに)だめでしょ真琴、ジャムをいたずらに使っちゃ、とたしなめられた。そのあと彼女はデータがどうとかつぶやきながら外出していったが、そのことは真琴の意識からすぐに消え去った。今はとりあえず目の前の事態を考えなければならない。 「そういえば、祐一は?」 水瀬名雪が起きてこないのはともかく、彼がいまだ階下に姿を現さないのは変だった。すでに日常では体験し得ない状態にいるだけに心配になってくる。ちなみに秋子さん⇒大丈夫という公式は彼女の中でも証明されている。 しかし彼は次の瞬間真琴の視界に飛びこんできた。 ブラウン管越しに。 「『ぶつかるぞおっ!高度を上げろぉー!』」 「『われわれは、このままあの勇敢な少年を見捨てぇっ…!』」 たい焼きからなぜか垂れ下がるロープにしがみついて、彼も上空にイタ。とりあえず無事は確認できたので真琴も対処を考え始めた、がそのとき。 <目標を目視で確認っ!ほんとにたい焼きだよぉ!> <みゅー!> 玄関前に急停車したバスから、何か出てきた。 <さっそく接触を試みるよっ!> だがすでに茜(仮)がそれへ向かって跳躍していた。素晴らしいスピード。ブヨンも突き破れそうだ。 ひらり。 <…あっさりかわされた……> 初めてテロップに意味を持ったイタチ状生物。しかも、まあ無理もないが、今の茜(仮)の突貫でたい焼きは彼女達を敵とみなしたらしい。 <うわわ、一時撤退!> 一斉に身を翻す動物×2と映像スタッフ。一直線に真琴のほうへ。 「って、ぎゃーーーっ!」 <ああ?!突撃隊員2号!?> イタチ状生物が真琴の束ね髪にぶらさがっていた。本能か。 そうしている間にもたい焼きが迫る。毛玉生物以下数名はとりあえず安全なところからの声援という一番ネガなバックアップをすることにした。 「なんで真琴にくるのよぅ!」 急降下したたい焼きは(はずみで祐一をいい感じにコンクリでバウンドさせつつ)真琴にのしかかり、その質量を武器として攻撃を続けた。 <えーこれは怒っているのではなく、愛情表現の一種なんですねぇ〜> 動物王国の主顔負けのコメントをお茶の間へ届ける毛玉。果たしてそのとき。 「そこまでですよ!」 カッ、と閃光とともに滑空する飛び道具。しかしたい焼きはダブルラリアットでかわした。 <ああ!さゆりーんっ!> もうもうたる白煙が晴れ、電柱の上に立つは我らがさゆりん。ついに決戦の刻が来た。 |
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